マンションの住みやすさ(安心)と資産価値の両立を考える上で、マンションにおいての防犯も重要な「キーワード」になってきます。
「防犯」はマンションのグレードアップ構想の中に入れておかないといけないポイントのひとつですし、定期的に行なわれるマンションの大規模修繕工事実施時にも提案項目のひとつとしても重要です。
マンションは共同住宅という性質上、不特定多数の人間が出入りするため、不審者が入り込む余地も多く、実際に「空き巣」等の犯罪が多いのも特徴のひとつです。そのような性質をカバーするため、一定の防犯性能をクリアしたマンションに付与される「防犯登録マンション制度」があります。
この制度は既存のマンション管理組合からも注目に価する点があります。 一番のメリットは、「防犯登録マンション」という称号が公的機関から付与されることにより通常のマンションに比べ、安心感を持てるだけでなく、金融機関によっては中古マンションの購入に対し優遇金利が適用され、資産価値の向上が図れる点です。マンションにおけるセキュリティを考えるときには対策方法として、「玄関ドアのオートロック化」や「監視カメラの増設」などの、対処療法的な対策を行う場合が多いといえます。 しかし、これらの方法だけでは、対策は十分とはいえません。 不審者や侵入者は、人目につきそうな場所からの侵入ではなく、見つかりにくいところ、人目のないところから侵入します。 いくら対策を講じても、「まさか、こんなところから侵入されるとは!」と、後から悔やまれることが少なくありませんので、そのような事にならないように、総合的に対策を考える必要があります。 マンションの防犯対策では、「防犯環境設計」という考え方が提示されています。 「防犯環境設計」とは、建物周辺の状況も含め、犯罪を抑制するのに好ましい環境を作り出すことで、犯罪抑止力を高め、犯罪を未然に防ぐことを目的とする考え方です。 「防犯環境設計」では、「対象物の強化」「接近の制御」「監視性の確保」「領域性の確保」の 4つの視点から、対策を立てることが重要です。
1. 対象物の強化(窓・出入口を強化し、建物への侵入を防ぐ)窓や出入口に、防犯性能の高い建物部品(認定された建物部品等)を使用し、侵入に5分以上時間がかかるようにして、 泥棒に犯行をあきらめさせます。
2. 監視性の確保(近隣から見通しを良くし、監視しやすい環境を作る)人目につかないことが、泥棒が犯行を行う上での条件になります。泥棒の侵入行為を道路や入居スペース、 共有スペースから、十分見通せるように照明や、監視カメラを整備します。
3. 接近の制御(泥棒が近づくことを抑制する)泥棒を敷地内に入れない、建物に近づけないようにします。建物周辺に警戒線を設定し、侵入経路を遮断します。
4. 領域性の確保(地域のよい雰囲気をつくり、泥棒に違和感を感じさせる)近隣との良好なコミュニティ形成を行い、泥棒が侵入しにくい環境を作り上げることにより、地域の防犯 意識を高め、防犯上好ましい環境を作り出します。
このように、それぞれのマンションに応じて、個別に、防犯環境の整備を行うことが非常に大切です。