大規模修繕工事において劣化診断、改修設計、施工会社選定、施工、工事監理という一連の流れを現管理会社や工事施工業者に一括して依頼した場合、工事内容がほんとうにマンションにとって適切かどうかは現管理会社や工事施工業者の提案を信じるしかありません。
管理組合の不安に対して管理組合自身がチェックすることは意外と困難なことです。そのため、居住者の要望も踏まえた上で管理組合の立場になって設計・施工し、客観的に工事をチェックしてくれる工事施工業者や管理会社を比較見積で選ぶ管理組合が増えてきていますし、今後もこの傾向は組合にとっての利益を考えていくのであれば増えていくべき傾向だといえます。
※1. 完成後の引渡しのチェックで見落としが多数発生しています。チェックは管理組合の立場に立てる施工管理技士に依頼しましょう。(費用はわずかです。)
※2. 管理会社が薦めた以外の施工業者を選んだ場合には、一定の費用を別途管理会社に支払う事により工事中の事務的な業務を任せることが可能になります。
※3. または、管理会社変更を同時に進めるのも可能です。
マンションの大規模修繕工事は管理組合の総会(臨時総会)で組合員および議決権の各過半数の決議が必要です。
また、修繕時期に資金が不足している場合は、借入金等の検討も必要となりますので住民全員の参加意識の向上が必要です。そして工事に入ると、日常生活をしながらの工事となるため、住民の方々の理解が得られなければ工事がスムーズに進みません。住民ひとり1人に、当事者であるという認識をもって頂くことが大切です。
工事施工の管理体制に問題がある場合も。また、工事業者からの相見積が形式的である場合も多く、費用面で問題が残るケースも多い。
特に設計事務所は、旧態依然とした建設業界の悪しき慣習を改修へ持ち込んでいることがあります。
●「チャンピオン制」と言われる特定の工事業者に便宜を計らう、談合体質が依然存在。
●一級建築士は新築の技術には優れていても、改修を専門的に勉強している人は少数派
●技術支援ができても、管理組合運営の理解に乏しくソフト面のサポートに欠ける
●工事業者へのリベート(紹介手数料)の要求
●裏取引(マージンの授受)に起因する、工事業者への甘いチェック
●何かあれば工事会社に責任を押し付け、矢面に立って問題解決する努力をしない。
専門家に過度な依存をすると、マンションの選択肢が狭まる、不利益を被る可能性が多々あります。
また、設計監理料が別途発生します。