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改正省エネ法のポイント

省エネ

◆ 省エネ法改正の背景

京都議定書に定められた第一約束期間がスタートしています。わが国の温室効果ガス排出量は1990年以降増加傾向にあり、議定書の目標達成が危ぶまれています。なかでも家庭部門のCO2排出量の伸びが大きく(90年比40%程度増加)、その対策は喫緊の課題となっています。こうした状況下で一層の省エネ努力を促すため、「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」が改正され本年4月から施行されました。今回特に重要な改正が行われた住宅分野の省エネ法改正について、そのポイントと意義を整理します。

◆ 住宅分野における改正のポイント

住宅分野の省エネ法改正の大きなポイントは、1. 運用面の強化、2. 基準項目の新設、の2点です。

1. 運用面の強化
所管行政庁が行うことのできる行政指導の内容が強化されました。省エネ法では、床面積が2,000平方メートルを超える住宅(主にマンション)に対して、断熱性能確保や共同設備の省エネ化といった省エネ措置の届出が義務付けられています。これまでは省エネ措置が著しく不十分と判断された場合に、所管行政庁が是正措置を「指示」することはできましたが、従わない場合でもその旨を公表することしかできませんでした。今回の改正で、所管行政庁は是正措置を「命令」することが可能になり、命令に違反した場合の罰則規定も設けられるなど、内容が強化されています。また2,000平方メートル以下の住宅に対しては、これまでは省エネの努力義務が課されていただけでしたが、2010年度からは床面積が300〜2,000平方メートルの住宅にも省エネ措置の届出が義務化され、不十分な場合には是正措置などを勧告することが可能となりました。
2. 基準項目の新設
新たに「住宅事業建築主の判断の基準」が定められました。この基準は、戸建住宅(を販売する住宅事業建築主のうち、年間150戸以上を新築する建築主)を対象としたもので、省エネ性能の目標水準とそれを達成すべき年次を定めたものです。省エネ性能の評価にあたっては、躯体の断熱性能のみならず冷暖房や給湯、照明といった設備のエネルギー効率も考慮に入れ、住宅全体の一次エネルギー消費量を用いることとされています。目標水準は、現行の断熱基準を満たし、現状で一般的な設備を設置した場合に比べてエネルギー消費量が10%程度削減された水準、目標年次は2013年度と定められています。

■改正の意義

上記の改正は次の2つの点から重要な意味を持つと考えられています。運用面の強化によって省エネ性能の高い住宅の普及促進が図られ、省エネ性能の評価基準として新たな指標が用意され総合的な省エネ対策の推進が図られました。
住宅分野の省エネ対策は、躯体の断熱基準を設け、高断熱住宅が普及するよう政策的に誘導することで進められてきました。しかし現状では高断熱住宅の普及は思うように進んでいません。断熱基準は1980年に設けられて以降(旧基準)、1992年(新基準)、1999年(次世代基準)の基準強化を経て現在に至ています。現行の次世代基準に適合する住宅が全住宅ストックに占める割合はわずか数%に過ぎず、旧基準すら満たさない住宅の割合は60%程度とされています。
このように高断熱住宅の普及が進まない理由として指摘されていたのが、断熱基準に強制力がない点でした。今回の改正では、大規模な住宅に限ったこととはいえ、省エネ性能の確保に関して一定の強制措置(命令・罰則)が可能となりました。また、省エネ措置の届出義務を課される範囲が拡大されました。これにより所管行政庁は住宅の省エネ推進に、より強力なイニシアチブをとることが可能になったと言えます。住宅に先行して届出が義務化された非住宅建築物(2,000平方メートル以上)では、届出義務化が決定された2002年度を境に、新築建築物における次世代基準の適合率が35%(2001年度)、50%(2002年 度)、70%(2003年度)と大幅に増加した実績があり、住宅でも同様の効果が期待されています。
 また今回の改正で、省エネ性能の評価指標として住宅全体の一次エネルギー消費量が用いられることになりました(ただし、対象は一部の戸建住宅のみ)。これまでの住宅における省エネ規制では、家電等の機器効率に対する規制と、躯体の断熱性能に対する規制とが、別々に用意されてきました。しかし、設備と躯体とを別々に扱っていては、機器の高効率化のみ実施、躯体の高断熱化のみ実施といったアンバランスな省エネ措置が採られかねませんでした。今回の改正によって、対象は限られていますが、設備と躯体の省エネ性能が総合的に評価されるようになります。今回の基準新設は住宅全体でみて最適な省エネ措置を検討・採用するインセンティブを与えるもので、これまでの住宅における省エネ規制から一歩踏み込んだものといえます。

■ 2009年・2010年施行 住宅・建築物における改正点

・2009年(平成21年)4月1日施行

大規模な建築物(床面積の合計が2000m²以上)の建築時等における届出に係る省エネ措置が著しく不十分である場合に、所管行政庁は変更指示に従わない者に対し、公表に加え、指示に係る措置をとることを命令することができるようになります。

また、住宅を建築し販売する事業者(住宅事業建築主)が新築する一戸建ての住宅の省エネ性能の向上を促す措置が導入されます。

 

・2010年(平成22年)4月1日施行

一定の中小規模の建築物(床面積の合計が300m²以上)について、新築・増改築時における省エネ措置の届出及び維持保全の状況の報告が義務づけられます。


改修工事における省エネ法のポイント

◆ 修繕工事における省エネ法のポイントについて

これまでの「大規模な住宅・建築物(2,000m²以上)の建築をしようとする者等に対し、省エネルギーの取組に関する届出を提出する義務等」から、以下の6つの内容への改正です。

1. 大規模な建築物(2,000m²以上)の省エネ措置が著しく不十分である場合の命令の導入
*省エネ措置:建築物の外壁、窓等の断熱化、空気調和設備等の効率的な利用の ための措置
2. 一定の中小規模の建築物(300m²以上)について、省エネ措置の届出等を義務付け
・新築・増改築時の省エネ措置の届出・維持保全状況の報告を義務付け、著しく不 十分な場合は勧告
3. 登録建築物調査機関による省エネ措置の維持保全状況に係る調査の制度化
・当該機関が省エネ措置の維持保全状況が判断基準に適合すると認めた特定建築物 の維持保全状況の報告を免除 等
4. 住宅を建築し販売する住宅供給事業者(住宅事業建築主)に対し、その新築する 特定住宅の省エネ性能の向上を促す措置の導入
・住宅事業建築主の判断基準の策定
・一定戸数以上を供給する住宅事業建築主について、特定住宅の性能の向上に係る国土交通大臣の勧告、公表、命令(罰則)の導入
5. 建築物の設計、施工を行う者に対し、省エネ性能向上および当該性能の表示に 関する国土交通大臣の指導・助言
6. 建築物の販売または賃貸の事業を行う者に対し、省エネ性能の表示による一般消費者への情報提供の努力義務を明示
*施行日は、2009年4月1日(ただし、2については2010年4月1日)。

◆ 修繕工事における省エネ法の概要について

1. 大規模な建築物の省エネ措置が著しく不十分である場合の命令の導入

著しく不十分である場合とは、「エネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断基準」の住宅では1992年基準、非住宅では1993年基準を目安としています。

省エネ措置とは、具体的には以下の6つの項目に対する基準が設けられており、これらをクリアーしているかどうかが判断基準となっています。

  • 建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止
  • 空気調和設備に係るエネルギーの効率的利用
  • 2以外の機械換気設備に係るエネルギーの効率的利用
  • 照明設備に係るエネルギーの効率的利用
  • 給湯設備に係るエネルギーの効率的利用
  • 昇降機に係るエネルギーの効率的利用

2. 一定の中小規模の建築物(300m²以上)について、省エネ措置の届出等を義務付け

これについての施行は2010年4月からですが、これまでの2,000m²以上と比べ全国の年間届け出件数は、約6倍の5万件程度に増える見通しです。新たな対象建物としては、コンビニやスーパーなどが含まれることになります。

同様に、著しく不十分である場合とは、住宅では1992年基準、非住宅では1993年基準を目安で、省エネ措置の基準も1の1〜6の6つの項目です。

住宅については届け出対象が拡大していますので、これまでの省エネ性能の判断基準を簡素化しています。また、2,000m²未満の非住宅の場合では、これまでのポイント法を簡略化した簡易ポイント法と呼ぶ評価法を新設しています。

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