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エレベータ保守契約を途中解除した管理組合の損害賠償責任が否定された事例

事件名 : 損害賠償請求事件
裁判所 : 東京地方裁判所
判決日 : 平成15年5月21日

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マンション名: 五反野住宅    
事件番号 平成13年(ワ)第20533号 事件名 損害賠償請求事件

裁判所

東京地方裁判所 判決日 平成15年5月21日
掲載文献

判例時報1840号26頁

判示事項

エレベーター保守会社とマンション管理組合との間におけるエレベータ保守管理契約が管理組合により契約期間途中で解除された場合において、管理組合に損害賠償責任が否定された事例。

第一審 hanrei 東京地方裁判所 平成15年5月21日 損害賠償請求事件
参照条文

民法第656条(※1) 第651条(※2)

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訴訟の背景と経緯

東京都足立区で昭和52年に分譲された187戸/12階建てのマンションです。

対応の悪さやトラブル続きのエレベーター保守会社Aに対して、管理組合Bは契約期間2年を残して契約解除しました。エレベーター保守会社Aは途中解約は契約違反とし、管理組合Bに対して「288万8550円の損害賠償請求」を提訴しました。
裁判所の判決は「保守契約の解除が不利な時期にされたものとはいえない」としエレベーター保守会社Aの請求を棄却し管理組合が勝訴しました。

五反野住宅は東武伊勢崎線・営団地下鉄日比谷線(相互乗り入れ)の五反野駅から北へ約800メートルの場所に位置しています。建物の構造は、鉄骨コンクリートプレハブ造で、地上12階(1階は10戸、2階から8階には各階に17戸、9階および10階には各階に15戸、11階および12階には各階に14戸の合計計187戸)の住宅であり、約500人がこの住宅で生活しています。分譲時より既に25年経過していることから裁判当時は60歳以上の高年齢者が多くを占めていました。

 

五反野住宅管理組合は、入居時からの慣習として各階より1年交代で1名、計12名の理事が選出され、互選で理事長1名、副理事長1名、総務2名、会計2名、設備3名、業務2名、監査1名が総会で承認され、それぞれの役職を担当していました。

平成10年5月1日、エレベーター保守会社Aを受任者、五反野住宅管理組合を委任者として「エレベータを正常かつ良好な運転状態に保つよう保守管理作業を行う」旨のエレベータ保守契約を締結しました。

 

◎ 保守契約内容

1. 昇降機所在場所 五反野住宅
2. 昇降機の種類と数 三菱製 乗用9人乗り600kg12(階)停止3基、人・荷用17人1150kg12(階)停止1基
3. 保守点検料 月額17万5000円(4基・消費税別途)
4. 契約期間 平成10年5月1日より5年間 期間満了日90日前にあらかじめ契約当事者の一方が他方に書面で解約の通知をなさざる時は自動的継続。

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エレベーターの故障とエレベーター保守会社Aの対応

平成10年7月22日
一号機エレベーターが朝と夕方に故障により停止。エレベーター保守会社Aに連絡したところ、同日午後8時50分ころ、エレベーター保守会社Aの修理工一名が本件住宅に修理のために来所したが、その修理工は当日の午後10時35分まで作業をしたものの、修理することができず、当該修理工は翌23日午後1時に部品を持参し、修理を再開したところ、ようやく午後5時20分ころになって修理が完了した。この間、エレベーター保守会社Aは、修理が完了するまでの間エレベーターを作動させながら修理作業を行っていた。

平成10年10月1日

午後7時ころ

本件住宅三号機エレベーターにおいて停止時に段差が生じるという故障が発生したため、管理人がエレベーター保守会社Aに連絡した。エレベーター保守会社Aは、翌2日に修理に行く旨回答し、翌2日に修理工一人が来所した。同日午前8時30分から作業を開始し、同日午前10時5分に作業は終了した。
同年10月5日に再び三号機に段差が発生したことから、管理人がエレベーター保守会社Aに連絡し、修理工が来所して同日午前10時から午後4時30分まで、同日午後9時から午後10時20分まで作業したが直らなかった。
エレベーター保守会社Aの修理工は翌6日には来所せず、同月7日になって修理工が来所し、同日午前10時から午後6時まで作業をしたが、やはり改善は見られなかった。
同年10月9日、三号機エレベーターは全面停止措置が採られ、エレベーター保守会社Aは、修理に必要な部品の在庫がなかったため、三菱ビルテクノサービス株式会社に交換部品を発注し、前記全面停止措置から一か月を経過した同年11月4日に修理が完了し、その間、本件住宅の住民はエレベーターを使用することができなかった。

平成11年6月9日

午前7時20分ころ

午前7時20分ころ、エレベーター四号機の警報機が鳴ったため、管理人が管理人室のモニターでエレベーター内を確認したところ、女性が中に閉じこめられていることが判明した。人がエレベーター内に閉じこめられているので急いできてほしい旨をエレベーター保守会社Aに連絡したところ、1時間以内には到着するとの返答であった。しかし、エレベーター保守会社Aが到着したのは1時間半以上過ぎた同日午前9時過ぎであった。
エレベーター保守会社Aが到着するまでの間、管理人がエレベーター保守会社Aへ電話し、扉の開け方を教えてもらい、四号機エレベーターの前にいた警備員にエレベーター保守会社Aから教えてもらった開け方を報告し、実行したところ、扉が開き、女性はエレベーター内から無事出ることができた。

エレベーター保守会社Aは、故障後、直ちに管理組合に対し、どのような故障であったのかの説明および釈明をしなかったため、理事会が、故障は、住民の一人がエレベーター内に閉じこめられるという住民の安全に関わる非常に重大な事故であるとの認識のもとに、エレベーター保守会社Aに電話をして故障原因等の説明を催促したところ、エレベーター保守会社Aは、翌日の午後になって、管理人に対し、エレベーター保守会社A社長およびエレベーター保守会社A副社長連名の報告書をファックスで送ってきた。その内容は、概ね原因が制御盤内マグネティックコンタクターの劣化によるとの一行記載があるのみであり、当日エレベーター保守会社Aが何時ころから修理に取りかかったのか等、修理の内容等についての詳細な記載はなされていなかった。

平成12年6月3日
地震によりエレベーター四基が停止するという事故が発生した。エレベーター保守会社Aは、当日、全てのエレベーターの点検を行い、復旧していることを確認したが、同日中に、管理組合に対し、エレベーターが運転再開にならず停止した原因やそれに伴う対処等について、何らの報告もなかった。
そこで、管理組合が、翌日、エレベーター保守会社Aに対し、故障事故の当日に事故の報告がなかったことを指摘したところ、エレベーター保守会社Aは、管理組合に対し、報告書を提出した。
平成12年6月30日
一号機エレベーターのモニター映像が消えてしまったため、管理人が修理するようエレベーター保守会社Aに連絡した。エレベーター内のモニターはエレベーター保守会社Aの勧めもあって設置したものであったが、上記故障の原因は、初歩的なものであったにもかかわらず、エレベーター保守会社Aにおいて本件故障について他のメーカー会社の部品を持参するなど一か月以上も原因を特定せず、修理が完了したのは、故障から一か月以上を経過した同年8月7日であった。
モニター故障の修理の際、モニターの保守管理が契約内容に含まれていない旨の説明は行うことなく、この件について作業報告書と題する書面を提出した。同書面には、「一号機モニタ、信号ケーブル交換いたしました。」と一行のみ記載され、故障の内容や原因についての記載はなかった。

平成12年10月17日

正午ころ

一号機エレベーターの上昇ランプが点灯しないため、管理人がエレベーター保守会社Aに修理をするよう連絡したところ、エレベーター保守会社Aは、翌18日、部品を持参して交換した。エレベーター保守会社Aは、管理組合ないし管理人に対し、故障原因の十分な説明(故障・修理の報告書による説明も含めて)をしなかった。
平成12年11月18日
四号機エレベーターが停止を繰り返すなど調子が悪いためエレベーター保守会社Aに対し見に来てほしい旨を電話した。すると、エレベーター保守会社Aが、24時間警備体制を整えるために、土曜日・日曜日および深夜の連絡業務等を依頼していた東洋テックの担当者が電話に出て、「1時間くらいで行きます。」と返答し、同日中に、エレベーター保守会社Aにおいて、対応策をとり、同日午後5時ころ、東洋テック担当者が、管理組合に対し、作業を終えた旨の電話連絡をした。しかし、エレベーター保守会社Aは、管理組合へ故障原因の説明および事故報告書の提出をしなかった。

平成12年12月25日

午前10時ころ

四号機エレベーターの一階乗降場の表示ランプが点灯しなかったため、管理人がエレベーター保守会社Aに早急に修理するよう依頼したところ、翌26日、エレベーター保守会社A修理工が部品を持参し交換した。そして、この故障について、エレベーター保守会社Aは、管理組合に対し、故障原因の説明も事故報告書の提出も行わなかった。

 

 

エレベーターの改修工事提案とエレベーター保守会社Aの対応

平成12年6月初旬

本件住宅のエレベーターをマンション分譲時から20年近く(平成10年まで)保守管理した三菱ビルテクノおよび当時保守契約を締結していたエレベーター保守会社Aの二社に対し、エレベーターの状態を良く調査した上で、どのような工事になるか、工事費用はどれ位になるか等、エレベーター改修工事についての技術提案と見積書を提出してほしい旨を連絡した。

その後、三菱ビルテクノは、二名の技術者が現場のエレベーターを調査し劣化した部分等を写真集にまとめ、管理組合に対し、本件住宅のエレベーターの現状を詳細に説明した上で報告書および改修工事の見積書を提出した。同社が提出した報告書は、不具合箇所の写真を貼付した上、エレベーターの一号機、二号機、三号機のどこが危ないかを詳細に説明したものであった。

平成12年6月15日

エレベーター保守会社Aについては、社長および副社長が、技術者や営業社員を同道することなく、管理組合が依頼をした改修工事の見積書ではなく、代金総額4180万円の新規エレベーター工事の見積書を持参した。

エレベーター保守会社Aが、改修工事の見積書ではなく、新規エレベーターの見積書を提出したのは、エレベーター保守会社Aにおいて、将来的な管理組合に生じる費用負担、本件住宅のエレベーターの老朽化の程度等を考慮して、管理組合およびエレベーター保守会社Aにとって、交換による方が将来的に有利であるものと判断したことによるものであったが、管理組合からの依頼の趣旨には沿わないものであった。

その際、エレベーター保守会社Aは、会社カタログと日経新聞の記事の切り抜きコピーを持参して提示し、管理組合理事に対し、エレベーターの現状の説明や報告などを行うことなく、エレベーター保守会社Aの提案に係る新規のエレベーター導入を前提に、安価に仕入れることのできる三菱社製の製品の購入を勧めた。しかし、どのような工事になるのか等の技術的な説明はなかった。

 

このように、当時設備担当理事が、エレベーター改修工事についての技術提案と見積書を提出してほしい旨依頼したにもかかわらず、

・エレベーター保守会社Aがそれに反して新規エレベーター工事の見積書を提出し、その理由について説得的な説明をなさなかったこと。

・三菱ビルテクノが、現場のエレベーターを調査し劣化した部分等を写真集にまとめ、管理組合に対して本件住宅のエレベーターの現状を詳細に説明した上で報告書及び改修工事の見積書を提出したのに対し、エレベーター保守会社Aがただ単に会社パンフレットと日経新聞の記事の切り抜きコピーを出して、他社よりも安くなる以外に新規エレベーターを導入する理由について説得的な説明をしなかったこと。

・エレベーター保守会社A社長と副社長のみが出席し、技術者や営業責任者の出席がなかったこと

などから、管理組合理事会は、エレベーター保守会社Aに対し、本件住宅のエレベーター改修工事に必要な技術力及び規模に関する不信感を抱いた。

エレベーター保守会社Aの提案に対し、管理組合理事会は、新規エレベーターとの交換ではなく、改修工事についての技術提案および見積書を提出すること、技術提案をしてもらわなければ、他社との比較ができないので、的確な技術提案をして説明することを依頼した。

 

平成12年7月18日

エレベーター保守会社Aからの提案がなかったため、管理組合理事会が、エレベーター保守会社Aに対し、再度、エレベーター改修工事についての技術提案と見積書の提出を催促したところ、エレベーター保守会社Aの社長と副社長が、平成12年7月18日に同月16日付見積書を持参したものの、エレベーター保守会社Aの持参した見積書は新規エレベーターとの交換工事を内容とするものであり、前回の見積金額をわずかに手直ししただけで、それ以外の技術提案はなかった。管理組合理事会は、かかる管理組合の要望に対応していない提案を行うエレベーター保守会社Aに対し、多大な不安を感じた。

平成12年8月2日

社長と副社長とが見積書を持参し、理事会とエレベーター保守会社Aとの第三回目の打合せが行われた。
この際、エレベーター保守会社Aは、管理組合に対し、エレベーター改修工事を内容とする平成12年7月26日付見積書を提出した。

 

この見積書には「改修工事に要する代金総額は2330万3000円」となっており、これは新規エレベーター工事代金よりも1.8倍高い金額であった。

管理組合理事らから、エレベーター保守会社A社長および副社長に対して、制御装置、モーター、ロープ、インジケーターがアナログなのかデジタルなのか、エレベーターのどこを、どのように改修するのか等、技術的な質問がなされたが、エレベーター保守会社A側からは技術的な説明はなかった。

管理組合理事会では第三回目の打合せにおいても、エレベーター保守会社Aが技術的説明をなさなかったことなどから、エレベーター保守会社Aについて、工事マニュアルも基本工法も確立されておらず、場当たり的な対応をする技術しか有していない企業であると判断するとともに、本件住宅エレベーター故障や事故に対するエレベーター保守会社Aの対応について、問題があるものと判断していたことから、継続してエレベーター保守会社Aにエレベーターの保守管理を委託することについて不安を感じ始めた。

 

平成12年9月1日

午後6時

エレベーター保守会社A社長と副社長から、管理組合理事会に対し、見積書が提出され、第四回目の打合せを行った。

前回の依頼に対し、エレベーター保守会社Aの会社ではコンピューターグラフィック等での資料作成はできないとのことで、具体的な資料の提出はなかった。

管理組合理事会から、エレベーターに5mmの段差や10mmの段差が出ることに対する対策やエレベーターの乗り心地等に関する見積書の内容や技術面についての質問に対し、エレベーター保守会社Aからは、管理組合理事会が納得できる説明はなされなかった。

 

このような経過から、理事会において、エレベーター保守会社Aを技術的に信頼することはできないので、本件住宅のエレベーターの改修工事の発注対象会社からエレベーター保守会社Aを除外すべきとの意見が多く出され、改修工事の発注対象会社から除外することに決定した。

 

平成13年1月31日、管理組合理事会は、エレベーター保守会社Aに対し、同年4月30日をもってエレベーター保守管理契約を解除する旨通知するとともに、管理組合担当理事が、この日保守管理契約を解除する旨を社長に電話をした。

 

エレベーター保守会社Aの契約内容と、新規保守会社の契約内容比較

エレベーター保守会社A
新規エレベーター保守会社
エレベーター四基のフルメンテナンスを内容として、毎月18万3750円

1号機、2号機、4号機エレベーターのフルメンテナンスおよび3号機エレベーターのPOG(新規エレベーター保守会社から、3号機エレベーターは人用ではなく荷物運搬用であり使用頻度が低いため、フルメンテナンス契約ではなくPOGでよいのではないかとの提案を受けた)を内容として、毎月16万5000円

エレベーター保守会社Aとの契約同様、エレベーター4基のフルメンテナンスにした場合には、1か月の保守管理費用は20万円(4万8250円× 4+1750円×4)

 

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原告の主張(エレベーター保守会社A)

●本エレベーター保守契約は、有償契約であり、かつ期間も決められているので、管理組合は契約期間中一方的な契約の解約はできない。

●契約の解約はできるとしても、解約につき無過失のやむを得ない理由のない限り、契約相手方の損害を賠償するべき責任がある。

 

被告の抗弁(管理組合B)

エレベーター保守会社Aは、エレベーターの故障や保守管理等において対応が迅速ではなく、誠実さが見受けられない。

また、住民が閉じ込められるなどの事故が起こっても、修理の内容などを詳細に説明せず不信感が募るばかりである。保守契約の解除には90日の余裕を持って通知している。

争点

・管理組合は、エレベーター保守会社Aに対し、エレベータ保守契約の解約に伴い、エレベーター保守会社Aに生じた損害を賠償すべき義務があるかどうか?

・エレベータ保守契約の解約は不利な時期になされたかどうか?

・仮に不利な時期になされたとして、やむことを得ざる事由による解約に当たるかどうか?

裁判所の判断と判決

・エレベーター保守会社Aの請求には理由がなくこれを棄却する

・本件契約内容の性質は、期間の定めのある有償の準委任契約と解され、したがって、本件契約には、民法656条(※1)により、民法の委任契約に関する規定が準用される。そして、民法656条が準用する651条二項(※2)本文は、「当事者の一方が相手方のために不利なる時期に於て委任を解除したるときは其の損害を賠償することを要す」と規定しているところ、本条項の「不利なる時期」とは、その委任の内容である事務処理自体に関して受任者が不利益を被るべき時期をいい、したがって、事務処理とは別の報酬の喪失の場合は含まれないものと解される。

・本件において、エレベーター保守会社Aが主張する本件解約に伴って発生した不利益は、事務処理とは別の報酬の喪失に他ならず、報酬はエレベーター保守会社Aが月々のエレベーター保守管理サービスを行うことによって発生するものであること、本件解約によってエレベーター保守会社Aにおいて従業員の配置を見直したり従業員を解雇したなどといった事情を認めるに足りる証拠はなく、管理組合が90日間の猶予をもって本件解約通知を行っていることからすると、本件解約は「不利な時期」においてなされた場合に当たらないものと認めるのが相当である。

・エレベーター保守会社Aは、期間の定めのある有償である本件契約においては、委任者である管理組合は、本件解約に伴い逸失利益相当額の損害賠償債務を負う旨主張するが、仮にそのように解すると、管理組合は、解約後においても、契約に伴う利益を享受することがないにもかかわらず、その対価のみは負担しなければならないことになって、解約をすることが全く無意味となり、当事者間の信頼関係を基礎とする委任契約について、民法651条(※2)が解約を認めた趣旨を没却することとなって、相当ではない。

--- 主 文---

1.原告の請求を棄却する。
2.訴訟費用は原告の負担とする。

東京地方裁判所 平成15年5月21日 損害賠償請求事件>> hanrei

※1. 民法第656条(準委任)

この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
法律行為による事務処理とは売買契約・賃貸借契約・請負契約・雇用契約などを指し、法律行為以外による事務処理とはマンション清掃・事務管理などを指します。

※2. 民法第651条(委任の解除)

1. 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2. 当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

この判例による、組合の留意点

本件の管理組合とエレベーター保守会社Aの契約形態は、独立系への直接契約だったと推測されます。

事件の経緯を見てみると、対応が迅速ではなかったり、各種報告に誠意が見られないなど、決して質の高いメンテナンス会社とはいえないようです。

 

エレベーターのメンテナンスは、メーカー系・独立系などがありますが、全般的には管理会社へ全部委託後、メーカー系・独立系へ再委託するのがほとんどです。
また、契約にはフルメンテナンスPOGなどがあります。フルメンテナンスで保守料を長年支払った後、POGに変更する場合は不利益になる場合がありますので注意が必要になります。

独立系で良質な設備業者でも、管理組合との折衝になれておらず、対応ミスなどが起こる場合があります。
また、管理組合が直接交渉するよりも、管理会社へ全部委託した方が、管理組合の手間が省け、またスケールメリットにより委託費が安くなる場合もあります。

質の良い管理会社やメンテナンス業者を探す場合は比較見積が不可欠です。
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