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マンション管理組合のための会計学

マンションの決算書チェックポイント

書類の網羅性

・会計報告書は全て揃っていますか?

会計報告書として、賃借対照表、収支決算書、ないしは収支報告書。

管理組合会計は管理費会計と修繕積立金会計に区分することが必要なので、それぞれに賃借対照表、収支決算書などの会計報告書を作成しなければならない。

・補助資料は揃っていますか?

1 勘定科目に関する明細書

a 収支に関する明細

収入明細書・支出明細書など

b 賃借対照表に計上された勘定項目の明細

未収金明細書・前払い金明細書・未払い金明細書など

証憑書類

区 分

代表的なもの

収入項目

・入金通知・入金取引が記帳された預金口座の通用など

支出項目

・支払先からの請求書・納品書・領収書など

資産・負債項目

・現金実査表(金種ごとに数量を調べ、金額合計を計算したもの)

・金融機関に対する預金および借入金の残高証明書

・金融機関などの保護預かりの残高証明書

・管理会社に預けている資金の確認書

残高証明書の取扱

全口座分を入手していますか?

預金の残高証明書については、一部の口座分だけの入手では不十分で、全口座分を入手することが必要です。残高証明書の入手が監査までに間に合わなかったということは、取りも直さず、会計担当理事の業務が適時に行われていなかった事の証明になります。

残高証明書は、現在の残高について、金融機関に基づいて、残高証明に記載した金額に間違いないと証明してくれるものですから、通帳よりも信頼できる資料になります。

必ず原本を確認する

不正を防止するために残高証明書は必ずコピーではなく、原本を確かめることが重要です。口座名義人が財産の分別管理方法に即した名義となっているかを確認しましょう。

重要事項書類説明書および管理委託契約書に定められた口座名義と一致しているかを確認します。

証憑書類はそろっていますか?

原則的には、収入・支出項目のすべてに証憑書類が存在すると考えられますが一部の収入・支出項目について存在しない事も考えられます。

管理事務に要する費用のうち定額委託業務費については毎月の請求書および領収書が発行されていない場合がありますがこの場合は管理委託契約書でチェックできます。

あて名が組合員の皆さんの管理組合あて名となっていますか?

個人宛やあて名が記載されていない請求書がないかを確かめます。自分たちの管理組合宛ではない証憑を発見したら、まず会計担当理事に質問して事実関係を確かめましょう。

会計報告書の数字が続いていますか?

前期の会計報告書と一致してますか?

通常ありえませんが前期の収支計算書の次期へ繰り越す残高と当期の収支計算書の前期から繰り越された残高は一致していなければなりません。

もし一致していない場合は、例外的な処理が行われているか、もしくは決算書類報告書の作成に誤りがあるかを表していますので会計担当理事に質問して、不一致となった原因について説明を求め、修正の理由について確かめましょう。

当期の会計報告書の相互間が一致していますか?

当期の会計報告書を構成する各種書類間で同一項目が一致していないということも通常ありえません。不一致があると自己矛盾していることになり、それだけで決算案としては失格になります。

勘定科目明細書が添付されている場合には会計報告書の同一勘定項目明細書が添付されている場合には会計報告書の同一勘定項目の計上額と勘定項目明細書の残高がいっちしているかを確かめます。

貸借対照表に計上された未収金残高と勘定項目明細票の未収金明細書の合計額が一致していなければ、勘定科目明細書として添付する意味がありません。

比較

全体的な検討の手続きで最も大事なものが、比較の手続きです。

前期実績と当期実績の比較

収支決算書および賃借対照表について、同一項目の前期実績と当期実績を比べて増減金額および増減率を求めて、大きく増減している項目がないかを調べます。

当期予算と当期実績の比較

実績が予算を上回ることは、予算準拠主義を原則とする管理組合合計においてはあってはならないことであり、予算で承認された金額以上に支出が可能であるとすればそのような管理体制であること自体が問題となります。

また、実績が予算を下回る状態には

・支出を節約したため、結果として予算を下回った。

・予算計上額の見積が適切でなく、結果として予算を下回った。

前期実績と当期予算の比較

予算の策定方針どおりの予算となっているかを、実際の会計報告と比較して検討します。

収入・支出等項目

収入・支出等の勘定項目のそれぞれを監査する際にには次の項目に注意が必要です。

勘定科目等

チェックポイント

管理費等収入

収入は正しく計上されていますか?

全ての組合員の1ヶ月当りの管理費等の金額合計を計算し、これに会計期間の月数を乗じた金額と一致するかを確かめます。

未収管理費等は正しく計上されていますか?

勘定科目の内訳明細書の中の未収金明細書の前期と当期を比較して滞納状況について、会計担当理事に質問して確かめます。また、滞納している組合員に対する督促業務が行われているか、未集金の回収に繋がっているか。滞納金額が増えてないかを調べます。

前受管理費等が収入に計上されてませんか?

当期に入金された翌月以降の管理費等が、当期の収入として計上されていないか調べます。

雑収入などの他の収入に計上すべきものが混入していませんか?

会計担当理事に質問したり、収入の明細書や補助簿を通査して、雑収入など他の収入に計上すべきものが混入していないか確かめます。

受取利息

普通預金の会計区分に対応して正しく計上されていますか?

管理費会計の普通預金に対応する受取利息であるのに、修繕積立金会計に計上されていたということがないように通帳の入金額と利息計算書を見て、口座番号などから元本との対応関係が正しいことを確かめます。

受取保険金

対象となった保険事故の内容を確かめましょう。

担当理事などに質問して、事故の概要を把握し、共用部分の補修などが必要ではないか、今後も同種の事故が発生する可能性がないか検討します。

入金を確かめる

保険会社からの入金通知、入金口座の記帳済みの通帳を確認します。

受け取り保険金に対応する修繕費などの支出がないかを確かめる

保険金事故に伴い発生した修繕費などの有無を、担当理事に質問したり、支出項目の明細を通査して確かめ、もし対応する支出が存在する場合には、受け取り保険金計上金額と比較して実質てきな自己負担金が生じないかを確かめる。

雑収入

内容を確かめ雑収入に計上してよいものかを検討しましょう。

勘定科目明細を閲覧して、内容を確かめ、雑収入以外の収入科目計上する必要がないかを確かめます。

○○会計より繰入金収入

○○会計へ繰入金支出

前期の総会議事録を閲覧して、総会で承認された内容と一致しているかを確かめましょう。

総会議事録記載のとおりの会計区分・資金移動金額・金融機関となっているかを会計報告書や預金通帳を確かめます。

会計単位間の繰越金収入と繰越金支出が一致していることを確かめる

一方の会計からの繰越金支出と他方の会計への繰越金収入が一致することを確かめましょう。

各種委託業務費

定額委託費用については管理委託契約書で月額を確かめ、会計期間に対応する金額(通常は12か月分)が計上されているかを確かめる

計上金額が計算結果と一致しているか確かめる。

変動委託業務費は作業実地の有無を確かめる

排水管清掃作業など、作業を実施した分のみについて支払われるものについては実施回数が予算計上と同一である事を確かめ、さらに作業報告書・納品書などで実施の有無を裏付ける。

サービスの提供を受けていないにもかかわらず支出が計上されていないか、また受けたサービス以上の支出になっていないかが確かめるポイントです。

水道光熱費

請求書・領収書と計上額が一致しているかを確かめましょう。

管理会社に業務を委託している場合には、管理会社負担部分を除いて、管理組合負担とすべき部分が計上されているかどうかを、請求書・領収書と証憑突合して確かめる。

対応する収入が計上されている場合は収入計上額と比較して、支出額との乖離金額の妥当性を確かめましょう。

水道料金は2ヶ月に1回の支払いで、前回の使用量に応じて料金計算が行われるため、どうしても水道料金の支払額と各戸から徴収した水道料収入の期間が対応しないものと考えられますが、水道料収入と支出を比較して収支差額が大きい場合には漏水の可能性や各戸の使用料計算に何らかの誤りが生じている可能性があるため収支差額が大きい場合には会計担当理事に原因分析を依頼しましょう。

保険料

領収書から求めた支払い金額と支出計上金額と賃借対照表の資産計上額(保険積立額)の合計が一致するか確かめる。

資産運用を兼ねて加入する積立型マンション保険の場合は、支払い保険料が掛捨て部分と、将来、満期になった場合に返戻される満期保険金に対応する資産に計上すべき部分に分けられますので、この処理が正しく行われているかどうか確かめる。

保険付保額の妥当性を確かめる。

マンション保険の付保額(保険事故が発生した場合に受取れる保険金の上限額)がマンション資産価値を下回ってないか、同様に質問して確かめる。

消耗品費

証憑突合し、支出の合理性を検討する。

請求書・領収書などの証憑と消耗品明細書を突合し、一致していることを確かめるとともに、必要な支出であったかどうかを検討を加えます。

修繕費建築診断費

作業実施および完了の事実を確かめる。

修繕工事などは請負業務ですから、その作業実施および完了の事実を作業官僚報告書や工事引渡書などで確かめる。また、見積を閲覧して作業内容と支払い金額が見合ったものであるかを検討する。

支払いの事実を確認する。

領収書等で計上金額と一致することを確かめる。

組合運営費

役員活動費

組合運営費と役員活動費の計上区分が適切かを確かめましょう。

通常、組合運営費は総会開催にかかる必要経費(例えば、総会会場代、茶菓子代、飲食代など)が計上され、役員活動費には、理事会開催にかかる必要経費および役員報酬などが計上されます。管理組合によっては、この両方を一括して組合運営費に計上する場合もあると思います。

両方の勘定科目が用いられている場合は、その区分を適切に処理することが肝心ですので、支出明細書を閲覧してその計上区分の妥当性を検討します。

役員報酬は報酬規定等の定めと一致しているのかを確かめましょう。

理事および監事に報酬を支払う事を定めている管理組合もあると思います。役職により報酬金額が異なる場合が多いと思われますが、過去の総会承認による報酬金額の定めどおりに支払われているかを確かめましょう。

雑費

雑費ではなく、その他の支出項目に計上すべきものが含まれていないかを確かめましょう。

請求書・領収書などの証憑と消耗品明細書を突合し、一致していることを確かめるとともに、必要な支出であったかどうかを検討を加えます。

雑損失

処理の妥当性を検討しましょう。

管理組合で雑損失勘定を用いるのは、過去の収入・支出の訂正や管理費の滞納者がいた場合、どうしても支払ってもらえそうにないと判断して、過去の未収入金を売却した場合など、かなり限定されます。

したがって、雑損失が計上された場合は、原因を会計担当理事に質問して確かめその妥当を検討することが必要です。

予備費

実績が計上されている場合は、内容を確かめましょう。

会計理論上は、本来、予備費という支払い項目はなく、あくまでも予算上、万が一に供えて支出予算を計上するために用いられる項目です。一部には予算超過支出を回避するため、本来の勘定科目には計上せずに、予備費としてしゆつを計上する場合も見受けられますの、支出実績が計上されている場合には、その内容について支払い支出名差一緒を閲覧して確かめ、なぜ予備費勘定に計上したのか、その判断理由を会計担当理事に確かめましょう。

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