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管理会社選びって『美人投票』みたいなもの?

管理費の相場について

ランキング全国の多くの管理組合から「委託費が高い」「管理が充分ではない」等のお問合せに、『比較見積』を通じて管理会社の変更をお手伝いさせていただいていますと、『美人投票』の仕組みに似た現象を垣間見ることがあります。
『美人投票』という喩えを最初に使ったのは、J.M.ケインズという経済学者で“玄人筋の行う投資は「100枚の写真の中から最も美人だと思う人に投票してもらい、最も投票が多かった人に投票した人達に賞品を与える新聞投票」に見立てることができるとし、この場合「投票者は自分自身が美人と思う人へ投票するのではなく、平均的に美人と思われる人へ投票するようになる」”という炯眼の分析でした。
この場合投資家は、企業の真実の姿よりも‘市場の期待値’にそった投資行動を採ることによって、株価が上昇し一定の利回りを手にすることができます。
ところが、‘管理会社選び’にこの『美人投票』の仕組みを援用すると、ちょっとした間違いが入り込むことになります。
雑誌などで紹介される「マンション管理会社ランキング」という情報に依拠しながら管理会社選びをすると、‘ブランド管理会社の粗利の最大化’だけに貢献してしまうからです。なぜなら株への投資と違い‘ブランド料’にサービスの質がともなっていない場合も多いからです。
マスメディアで紹介される「マンション管理会社ランキング」なるものは、公表されているデータや管理会社各社へのメディアからのアンケートを集計して作成されます。
公表されているデータについてはともかく、各社へのアンケートは外部ではその真偽を判別できないものも多く、結果として‘ランキング’が操作されたものになっている場合もあります。
例えば、管理組合担当者ごとの担当マンション棟数などは、アルバイト等の人数を加算した上で計算したものを、‘ランキング’の資料として提供している大手の‘ブランド’管理会社もあります。‘ランキング’で紹介されている棟数の2倍から4倍程度のマンションを担当しているのがそういったブランド管理会社のフロントマンの実態のようです。

 ◎ オーソリタリアンパーソナリティとブランド志向

オーソリタリアンパーソナリティとブランド志向日本人は古くからブランド志向が強かったようで、『徒然草』で占部兼好が記したように、室町時代には『唐物(からもの)』と呼ばれた韓国製の器が珍重され、現代では、ヨーロッパでブルジュワジー御用達の高価なブランドバックが飛ぶように売れるのが‘日本’です。
ブルジュワジーでなくてもブランドバックが購入できるのは、平和で経済力ある‘日本’を象徴する現象としてむしろ歓迎すべきことといえるでしょう。
ただ、このようなブランド志向の性格を最初に分析したのはユングという心理学者で、ナチス政権下のユダヤ人虐殺という悲惨な現実を分析する過程で指摘された「権威主義的人間(オーソリタリアンパーソナリティ)」の特徴のひとつだったのです。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というブラックユーモアとも通じるかもしれません。
世阿弥の「風姿花伝」で、日本人は‘童’‘兵’‘翁’の3種類しかないとうことが述べられていますが、この‘兵’つまり軍人的性格が権威主義を醸成しているのかもしれません。
日本人は狭隘な土地で稲作農耕をおこなってきた民族です。狭い土地での稲作は、水の管理、田植え、収穫、すべてに村落共同体の強い結束力と秩序が必要とされます。共同体の一員として調和を乱すことは、「何のための、いかなる調和なのか」を問いただすまでもなく、協調性自体に意味があったといえます。タテ社会の‘空気’を乱すことを恥とし、上の意見に従順で謙虚な‘権威主義’が、共同体の倫理規範の裏側にあるメンタリティであったともいえます。
「和をもって尊しとなす」とはこのようなタテ型社会の調和に他なりません。

 ◎ 祭囃子と交響曲

祭囃子と交響曲小学校の音楽の時間などで‘輪唱’という、複数の声部が同じ旋律を異なる時点からそれぞれ開始して歌う体験をされた方が多いのではないでしょうか。
それぞれのパートが違う音程を歌うので苦手意識を感じた方も多いのではないかと思うのですが、日本の民謡は、祭囃子をはじめほとんどが‘単旋律’で、音程を違えて歌い和音を作り出すことに慣れていないともいえます。
一方、西欧の音楽は、交響曲のように楽器ごとに演奏のパートが違い、全体でひとつの壮大な曲を作り上げます。
「和して同ぜず」ともいいます。
マンションの管理組合という共同体は、出身地が違い親類縁者でもないものが、年齢も職業も性別も、当然に人生観も違うものたちが集まっているのです。
違う意見を許容する「和して同ぜず」の、交響楽的管理組合を作っていく時代にきているともいえます。

 ◎ 選ばれた‘管理会社’の役割

マンションの管理組合員には、タテ(上下)の関係はありません。伝統的な日本のムラ社会のように‘全員一致’のコンセンサスを形成するための仕掛けが都市のマンションコミュニティには欠けています。
声高な一部の役員だけが理事会と組合の方向性を決定付けている管理組合や、都市の無縁社会で、みんなが無関心な管理組合もあります。
いずれも管理会社から見ると、組み易い管理組合です。声高で音頭とりの理事とは‘癒着’し、無関心な組合に対しては、ムラの長(おさ)として組合を懐柔していけば良いのですから。
管理組合の理事になるためには、年齢も性別も勤務先の役職も一切関係ありません。
良識があり、組合のために貢献する区分所有者が、役員として意見を述べ実現していくことが重要です。
管理会社は、このような管理組合に、プロとしてのアドバイザーの役割が求められます。
『美人投票』で選ばれた管理会社が、安閑と胡坐をかくために存在しているのではありません。

 

*『美人投票』はJ.F.ナッシュによって提唱された「ゲームの理論」という数学的理論としても論じられています。「囚人のジレンマ」として有名ですが、『管理見積.com』では、管理会社のブランド、管理の質、委託費のバランスで組合の「ジレンマ」を解消できるようご提案していきます。

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