フロントマンは、理事会からの要望、管理会社の社員としての立場、利害の調整が必要な管理組合員からのクレーム、各マンションの管理人の指導、設備業者との折衝など、高いソーシャルスキルとコミュニケーション能力が要求される職種です。また、マンションに関連した法律や、建物・設備に関する知識など「マンション管理のプロフェッショナル」として、よりよい組合の運営と建物の資産価値を守るために、幅広い知識と経験が必要とされます。
一方、理事会・総会などで土日が出勤日となっており、不規則になりがちな勤務時間のため離職率の高い職種となっています。社員教育をはじめ管理会社のサポート体制が整っていない場合は、モチベーションを高く維持することができずに、無気力で指示待ちの対応の遅いフロントマンが組合の担当者になってしまうこともあります。フロントマンは高い資質が求めらる職種ではありますが、実際は良いフロントマンと出会えない管理組合が多く、マンションの資産価値が保てない場合もあります。「良いフロントマン」と出会えない管理組合は、管理会社へフロントマンの変更を申し出ることも必要になります。応じてもらえなかったり、もともと頻繁にフロントマンが変る管理会社ならば管理会社変更を視野に入れて検討する必要があります。
「管理業務主任者」の資格を持っている。(一般的な管理会社のフロントマンの有資格者率は80%といわれています。有資格者ではなくても、マンション関連の法律に精通し、修繕工事や、設備、会計処理などマンション管理のプロとしての知識を充分にもっていてクレーム対応力がある。 )
「管理業務主任者」が、管理の前提となる管理受託契約の重要事項の説明から、受託した管理業務の処理状況のチェック等及びその報告までをおこなっているか。 (管理業者には、事務所ごとに国土交通省令で定める人数の設置が義務付けられている※1。 )
担当フロントマンが頻繁に入れ替わる。(同じフロントマンが2年以上担当することが望ましい。フロントマンは離職率が高い職種で、フロント経験が少ない担当者にあたる場合もあります。 社員の離職率の高い管理会社は、提供するサービスの質も低く、社内の居心地が悪ければ、社員も能力が発揮できません。社員全体の平均勤続年数も確認しましょう。)
フロントマンの担当管理組合数がが過大ではない。(フロントマン一人当たり最大15棟が目安で、少ないほどよい。マスコミで扱われるランキングの担当者当りの棟数は自己申告なので、直接担当者に確認しましょう。)
月次報告が適切に毎月理事会で報告されているか。(月次報告書の内容は、建物・設備点検報告、入退居者および区分所有者変更の報告、不具合部分の報告、居住者からの要望・苦情事項の報告などがあります。「月次報告書のチェックポイント」を参照にしてください。)
※1. マンションの管理の適正化の推進に関する法律
第72条3項(重要事項の説明等)
前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則
第61条法第五十六条第一項の国土交通省令で定める管理業務主任者の数は、マンション管理業者が管理
事務の委託を受けた管理組合の数を三十で除したもの(一未満の端数は切り上げる。)以上とする。