公正取引委員会アンケート調査結果では、管理業者を「変更したことがある」とするものは26.9%となっており、マンション購入時に契約した管理業者との契約が継続される割合が7 割を超えています。しかし、「変更したことがある」と、「変更を検討中である」及び「変更を過去に検討したことがある」と回答したものを合計すると49.2%と、約半数に達しています。
●ダイジェスト
管理業者の変更を検討した管理組合の約1/4が、管理委託契約書の内容が管理業者を変更する際の障害となったと回答しており、また、1/3強が、既存の管理業者等の行為が管理業者を変更する際の障害となったと回答しています。
アンケート調査において、管理業者を「変更したことがある」、「変更を検討中である」又は「変更を過去に検討したことがある」と回答した管理組合に対し、管理業者との間で交わす管理委託契約書の内容に関して、管理業者を変更する際の障害となった事項があったかを聞いたところ、25.3%の管理組合が「障害となった事項がある」と回答しています。
障害となった事項の中には、「管理組合が契約解除を提案できない」、「管理業者の了解がなければ契約解除ができない」など、将来、管理組合による管理業者との取引内容や取引先の見直しを制限する内容のものもみられました。
アンケート調査において、管理業者を「変更したことがある」、「変更を検討中である」又は「変更を過去に検討したことがある」と回答した管理組合に対し、既存の管理業者の変更に関して妨害行為など障害となった事項があったかを聞いたところ、36.0%の管理組合から「障害となった事項があった」との回答がありました。
障害となった事項としては、「マンション居住者の無関心さ」を挙げるものが多く、中には、「管理業者の変更により、マンションが売却しにくくなったり、設備の保守に支障が出る」と管理業者から聞かされたというものや、管理業者の嫌がらせ行為があったというものがありました。そして、管理業者から受けた嫌がらせ行為としては、「契約解除に応じない」、「設備管理の引継書類を渡さない」、「組合理事の抱き込み工作を行う」、「会計資料の提出を求めても提出しない」、「管理員による説得工作」など具体的な妨害行為を挙げる回答がありました。
また、管理組合へのヒアリングにおいても、管理業者による妨害行為に関して、次のような指摘がありました。
・管理組合が、管理業者への委託から設備保守業者との直接契約に切り替えようとしても、同管理業者と取引が多い設備保守業者については、同管理業者との関係が悪化することを恐れ、契約を辞退するケースが多く、簡単にはいかないようです。
・管理業者への委託から設備保守業者との直接契約とするため、設備保守業者に見積りを依頼しても、設備保守業者から管理業者を通すよう言われ、「このマンションの管理業者から自分を通すよう強く要請されている」旨を聞いたというものもありました。
●ダイジェスト
マンション分譲時の管理委託契約のうち、解約を制限する条項が置かれているものについては、マンション管理適正化法(平成13 年8 月)上、マンション分譲時に重要事項の説明なしに1年を超える契約を結ぶことは禁止されています。独占禁止法上「不当な抱き合わせ」等として問題となる場合もあります。
マンションの購入とその管理・保守とは別個の取引であり、したがって、購入者は、購入時においては分譲会社が指定する管理業者との間で管理委託契約を結ばざるを得ないとしても、同契約は、あくまでも管理組合が設立されるまでの暫定的なものである以上、競争政策の観点からは、管理組合の設立後は、同組合による管理業者の自由な選択又は変更の可能性が十分に確保されていなければいけません。
マンション管理適正化法施行以前に結ばれた契約については、マンション管理適正化法の適用はないとされているものの、独占禁止法上は、分譲会社が、長期安定的な収入を得る等のため、分譲時に、管理組合による契約解除を不当に制限する内容の契約を締結することは、「不当な抱き合わせ」(一般指定第10 項)等として問題となります。
上記アンケートは、公正取引委員会が行ったもので、管理会社変更に伴う様々な問題が浮き彫りになっています。「競争原理」を取り入れた管理組合運営が「より良質で安価なサービス」の提供を受けることができるということが、公正取引員会の見解となっています。管理会社の変更は『管理見積.com』へお気軽にお問合せください。