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管理組合役員の負担する義務について

「役員の責任」 - 委任の規定に従い各種の義務を負う

管理組合役員の負担する義務

区分所有法上の管理者は、区分所有法28条により「管理者の権限義務は、委任に関する規定に従う」と定められています。通常は理事長が、この「管理者」にあたります。
その他の理事も、もち回りであろうとなかろうと、集会で選任されて、これを請けた以上、民法上の受任者として同法644条に定める「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務」を負うことになります。

※1. 受任者とは、委任契約に基づき、委任された側の人のことを指します。マンション管理においては理事会が受任者となります。管理組合が委任者になります。

 

● 「善良な管理者」の注意義務

義務者の職業、その属する社会的・経済的な地位などにおいて、一般的に要求されるだけの注意の程度をいいます。 管理組合の場合は理事一般が保有すべき注意義務の程度を示します。

 

その他、民法の規定によれば理事は次のような義務を負います。

645条
受任者による報告
受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
646条
受任者による受取り物の引渡し
受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。
647条
受任者の金銭の消費についての責任
受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

 

小規模マンションでもそうですが、大規模マンションでは特にトラブルや紛争などが絶えないケースがあり業務も大変になってきます。

ですので、自分の仕事や都合がらみで、管理組合の役員になることが時間的にも能力的にも難しい場合は事態することが賢明ということもあります。
仮に、持ち回りだとと言われて、断りにくくても、管理組合の決定や集会の議決であっても、あなたに受任を強制することはできません。 責任ある仕事がやりとげられるかどうかを十分に考えてから理事になるかどうかを決めましょう。
業務遂行については、役員になった当該人の能力が、たまたま低かったからとか、自分の仕事が忙しくて活動する時間が足りなかったなどの理由で免責されることはありません。

 

●「管理事務の秘訣」 - まずは他の住人への報告義務を念頭におくこと

マンションの業務は多岐に渡り、かつ複雑な業務ですが、独断専行することなく、また管理会社に頼りきりにすることもなく、様々な人の意見を聞いて、事務処理を行なうことが、マンションの管理組合の役員には大切です。

そして、受任者(役員)には委任者(管理組合)への報告というのが欠かせない業務となります。

他の区分所有者に定期的に業務報告することが念頭にあれば、事務処理を整然と行い、その証拠を記録しておくことが大切になります。

 

理事長の管理組合への事務処理報告義務の内容は?

理事長の管理組合への事務処理報告義務の内容

◆理事長は民法上の受任者として管理組合への報告義務を追います

区分所有法28条によりますと 「この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。」 と記してあります。
また、民法の定める受任者として、その仕事の委任者からの請求があった時は、いつでも、すみやかに、委任事務処理の状況を報告する義務があります。

 

◆ しかし、理事長と個々の組合員との間には…

普通決議により複数の管理組合の理事を選任し、その中から互選によって理事長を選任します。よって、理事長は管理組合からの受任者たる立場になるわけです。

委任者は管理組合であり、個々の組合員が委任者であるとはみなされません。

よって、個々の組合員からの個別的な説明を求められても、これに応ずる義務はありません。必ず管理組合を通して問い合わせましょう。

 

◆ 道義上の報告義務はあります。

マンションの財産価値に影響をもたらしたり各組合員の生活被害のおそれがある事柄の場合は、組合員の共同の利益を守るうえで対応しなければいけません。

また、理事会の事務処理の報告をすれば、管理組合からの理解も得られやすいです。

区分所有法

(委任の規定の準用)

第28条

この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。

 

民法645条

受任者による報告
受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。

 

標準管理規約
32条(業務)
17.その他組合員の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保するために必要な業務

 

理事長の報告義務の実施方法

報告集会を毎年1回一定時期に開く。

理事長の報告義務については区分所有法にて毎年一回一定の時期に開催しなければならないと定められています。

理事長が行なう事務について総会を招集するという理事長みずからの権限行使を通して招集がなされ総会において報告されることが予定される、ということになります。

 

理事長が総会の招集をしない(報告義務を怠る)場合は、組合員の5分の1以上、かつ議決権の5分の1以上で理事長に総会の招集請求が請求できます。

それでも、理事長が応じない場合は、招集を請求した組合員が総会を招集できるとされています。(区分所有法第34条)

仮に理事長が総会の招集を怠り報告を回避するようなことがあっても組合員による総会招集手続きにより報告を求めることができます。

(集会の招集)
第三十四条

1.集会は、管理者が招集する。
2.管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。
3.区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
4.前項の規定による請求がされた場合において、二週間以内にその請求の日から四週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは、その請求をした区分所有者は、集会を招集することができる。
5.管理者がないときは、区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。

 

(事務の報告)

第四十三条

管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。

 

管理組合役員の「秘密を守る義務」とは

管理組合役員には、その仕事の遂行にともない、各区分所有者のプライベート的な情報も耳に入ってくることでしょう。そして、外部から色々な問合せがされることもあるでしょうし、うっかり、役員の立場で知りえた情報を他の区分所有者へ話してしまうような機会もあるかもしれません。

 

管理組合役員は、正当な理由がない限り、職務上知りえた秘密を外部に漏らしてはいけません。

これには、区分所有者のプライバシー情報も含まれます。

区分所有法

(委任の規定の準用)

第28条  

この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。

 

民法:第644条

受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う

・この義務に違反して区分所有者に損害や被害を与えたら損害賠償責任等をしなければならない場合もある。

●正当な理由とは

正当な理由にも様々なケースがありますが、一般的には

1.公務所からの調査・照会を受けて公表する場合

・証人として裁判所で証言を求められた場合。

・官憲から犯罪捜査の協力を求められた場合。

・税務署などから調査を受けた場合。

・公務署から各種の調査・照会を受けた場合。

 

2.管理組合の権利・義務にそって公表する場合。

・外部からの問合せに対し、答えることが、管理組合の義務に準ずるか、または、正当な権利行使として考えられる場合。

例:区分所有者が区分所有物件を売りに出した場合、交渉相手や仲介の不動産業者から、売主の管理費用や修繕費用の滞納状況

 

●滞納額情報について

区分所有物件の売買契約の場合、区分所有者が滞納した管理費は、その部屋を買い受けた買主の負担となります。

管理組合としては、買主にもあらかじめ告知することにより、管理費の回収を容易にするという正当な理由もあります。

区分所有法

(特定承継人の責任)

第8条  

前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。

 

●管理組合役員が守るべき秘密とは

漏らした内容が、秘密に当たらない場合は守秘義務違反にはなりません。

例として、特定の区分所物件の購入希望者がその所有者の住所を知りたがって問い合わせてきた場合。その登記簿に記載されている区分所有者の住所等を開示するのは守秘義務違反には、なりません。ただし、登記簿記載の住所と管理組合に届けられた住所が違う場合守秘義務違反と言われても仕方ないでしょう。登記簿に載っているからといって抵当権の設定の有無や内容まで吹聴するのはプライバシー侵害や名誉毀損と判断される場合があります。

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