一般住宅では電力会社より低圧(交流のものは600V以下、直流のものは750V以下)で供給されるが、マンション等の建物についてはその扱いは均一でありません。 電源供給は、供給電圧によって「低圧引き込み」「高圧引き込み」「特別高圧引き込み」の3種類に区別されます。区別の方法は、建物の使用電力により決定し、マンションの場合は各住戸の契約電力の合計と共用部分の総量で引き込み方式が決定します。当該マンションの電力総量が50kW以上になると高圧引き込みに方式になり、敷地内に電力会社の借室変電設備(借室電気室)を設け、高圧から低圧に電圧を変換して各住戸に送電します。
借室電気室とは、電力会社が建物内に必要なスペースを無償で借り、住戸部分及び共用部分に必要な電圧の電力を供給する変電設備で、維持管理は電力会社が全て実施します。
電気需要者の電気工作物は、一般電気工作物と自家用電気工作物に区別され、おおよそ住戸及び一般的なマンションの共用部は、一般電気工作物になります。大規模マンションの共用部契約電力が50kW以上の施設は、高圧引き込みとなり、「自家用電気工作物」に該当します。「自家用電気工作物」の所有者は、電気事業法によって、経済産業資源エネルギー部施設課に対して、電気主任技術者の選任及び保安規定を工事着工前に届出し、建物完成後は保安規定に則った維持・運営を行わなければなりません。なお、電気主任技術者の選任については、契約電力が一定容量までの自家用電気工作物は、電気保安協会等に委託する方法により電気主任者の不選任申請が可能です。
キュービクル式高圧受電設備は、高圧で受電するための機器一式を金属製の外箱に収めたもので、単に「キュービクル」(Cubicle)とも呼ばれます。 6,600Vで受電した電気はキュービクル内で100Vまたは200Vに変圧され、施設に供給されます。建物内に変電室のためのスペースがない場合等に置かれるもので、小型軽量な箱型に全部を収納してある受電装置である。屋内型は地下室、階段室、屋上塔屋等に設置でき、屋外型は建物外の地上に据え付けられる。ともに函体に収納されユニット部分が可能なため増設移設が自由にできるという便利な、そして経済的な都市型の受変電設備です。