消防計画は防火管理者の選任、消防設備点検報告書とともに消防法に義務規定があります。消防計画には火災だけではなく、地震、風水害など、暮らしの防災全般に関して(いざというとき、どうするか)を規定しています。 消防計画には、自衛消防隊組織としての連絡班、初期消火班、避難誘導班など住民が分担する各階別責任者(班長)を記入するようになっています。職場と違って居住者の皆さんは、いつもマンションにいる訳ではないので、役割分担に悩むことになります。でも、「たまたま、部屋にいたときには、やって戴く」という条件付きで決めて戴くしかありません。
この自衛消防組織表を作る目的は、「いざという時には、どんな役割が必要か」を認識しておくことにあります。 この認識があると、いざというときには、集まった方たちで臨機応変に役割分担ができあがるものです。「消防計画を作るから集まって」と呼びかけて、集まった方たちで班の分担を決められたら理想ですが、場合によっては防火管理者が班の分担を決めて告知した後に「ご協力お願いします」と事後承諾をとるのもひとつの方法です。最初から完璧な消防計画はありません。最初の道を作るのが一番大変なのです。消防計画は災害に関する経験と対策の積み重ねにより随時見直されるべき性格のものです。 必要に応じて修正更新していきましょう。
マンションには高齢者(独居老人),障害者,外国人,乳幼児等の災害時要援護者がいます。防災知識の普及,災害時の情報提供,避難誘導,救護・救済対策等防災の様々な場面において災害時要援護者に配慮したきめ細かな行動をとらなければなりませんが、居住者名簿がなくては何も出来ません。「管理組合に対する居住者の信頼」と「災害時要援護者への迅速で、きめ細かな行動」は表裏一体の関係にあることを忘れないで下さい。
1. 防災週間などの機会をとらえ賃借者を含めた全居住者に用紙を配布し記入してもらうこと。
2. 所有権移転の届出書、賃借人の誓約書など、居住者の入れ替わりの際に管理組合に提出してもらう書類には必ず居住者名簿も忘れずに一緒に記入してもらってください。
居住者名簿は個人情報保護の対象です。誰が管理し、どこに保管するのか、非常の際の取り扱いなど、きちんと取り決めて住民に告知していないと協力が得られません。居住者名簿の提出は日ごろの管理組合(理事会)に対する信頼感の裏付けです。ご自分の意思で居住者名簿を出さない方に提出の強制はできません。原因は管理組合への信頼のなさにあります。日常の活動や避難訓練、そしていざというときの居住者間の行動やコミュニティを通じて信頼が得られたとき、いつしか自発的に居住者名簿を出してくれるようになることを私たちは経験的に知っています。信頼を得るのには時間がかかります。
消防計画に基づいて避難訓練を実施する場合、実施にあたっては消防署では細かな指導をしてくれます。大きな団地での避難訓練では消防署員が立会いで指導してくれたりしますが、小規模のマンションでは消防署員の立会いがない場合もあります。そんな場合でも下記のような協力もあります。
1. 事前に「自衛消防訓練通知書」を消防署に提出して、いつ、どのような段取りで訓練をするかを相談します。決まった内容は「居住者へのお知らせ」で居住者に広報します。
2. 当日、指定時間に消防署へ、「これから、避難訓練を始めます」と電話を入れます。消防署「はい、了解しました」
3. 消防隊長(防火管理者)の訓練開始の号令とともに、非常ベルを鳴らし、各階への通報を行い避難誘導を開始します。
4. 119番へ「火災が発生しました」と通報します。「いったん受話器を置いてお待ちください」との指示のあと、すぐに折り返し消防署から電話がかかってきて、マンションの場所、目印、火災の発生階、状況、住民避難の状況、逃げ遅れた人や、ケガをした人はいますか?(救急車が必要かを判断)などの質問に答えながら、的確に状況を伝えることも大切な訓練のひとつです。全員が避難後「避難終了しました。訓練終了します」と報告で完了します。
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マンション消防計画書